SLOPE-logotype

Spectator 10th Anniversary Exhibition “LITTLE BOX”20100922 Omotesando

  • Spectator 10th Anniversary Exhibition “LITTLE BOX”
  • Spectator 10th Anniversary Exhibition “LITTLE BOX”
  • Spectator 10th Anniversary Exhibition “LITTLE BOX”
  • Spectator 10th Anniversary Exhibition “LITTLE BOX”
  • Spectator 10th Anniversary Exhibition “LITTLE BOX”
  • Spectator 10th Anniversary Exhibition “LITTLE BOX”
  • Spectator 10th Anniversary Exhibition “LITTLE BOX”
  • Spectator 10th Anniversary Exhibition “LITTLE BOX”

雑誌『SPECTATOR』の10周年を記念したインスタレーション。
社会から離れ、シンプルに自分らしく生きるライフスタイルのアイコンとしての小さな小屋を具現化しました。

以下、青野編集長のコンセプトを抜粋します。

「理想的なライフスタイル」を手に入れるためのヒントを探して世界各地を旅しながら取材を進めていくなかで、既存のルールにとらわれない「もう一つの生き方」を実践している同世代と出会いました。消費社会や権力に背き、豊かな自然のなかでシンプルに暮らすことを好む彼らのなかには、水道も電気も届かない森のなかに、独力で建てた家に暮らしている者もいました。そんな彼らが住処としていたのが、ここに展示したような小さな家でした。安価もしくは無料で手に入れた資材を利用してハンドメイドで作られた簡素な住まいは、お世辞にも快適とは言いがたいけれど、手作りの暖かみと個性が感じられる魅力的な佇まいをかもしていました。室内には必要最低限の生活のための道具だけが置かれ、こんなに少ないモノだけで人は暮らしていけるものなのかと余計な心配をしたくなることも少なくありませんでした。
けれども、たとえ手間がかかるような日々の仕事も創意工夫によって克服する姿勢こそが、人間らしく生きるためには重要であるという考えに基づいていると知り薫陶を受けると同時に、便利なサービスや道具に慣れ、手仕事を忘れてしまった者の目には、その考えが新鮮に写りました。

取材を終えて都会に戻り、日々の忙しさに追われるうちに次第に薄まりつつある、あの小さな家の記憶が、ふとした瞬間に頭をよぎることがあります。さまざまな欲望が渦巻く都会のなかで、つい自分を見失いがちになるときにあの小さな部屋を満たしていたシンプルだけど豊かな時間に身を浸してみたくなるのです。